「 いちか、死んじゃだめ。
死んだら、もうみんなに会えないよ?」
いちかの頬をなでた、温かい。
生きてる。
「でも、いちか、もういい。
みんなに会えなくてもいい。
辛いもん。それより、楽になりたい 」
いちかの言ってること、よーく分かる。
分かるから、止めなきゃ。
いちかの気持ちが分からない人が止めても、逆効果だと思う。
「 だめっ…。そんなの、私が許さない。いちか、死んじゃやだ。私が寂しいもん。いちかのお母さんも寂しいと思う。だから、駄目。絶対に…」
いちか…いちか。
泣かないで、いちか。
「 いちかは頭が痛いの?」
いちかは、首を縦に振る。
「 じゃあ、鎮痛剤を処方してもらお?ね?今より、楽になれるよ…。」
「 うんっ…ありがと。夢お姉ちゃん…」
車椅子から、いちかの布団まで動いて、私はいちかを抱きしめた。
いちかの本音を聞いて思ったんだけど…。
生きてるって素晴らしいことだね。
生きていることに感謝して生きようね、いちか。
妹みたいな、いちか。
いちかのおかげで、私もきっと強くなれたはず。
ねぇ、いちか。
生まれてきてくれてありがとう。