私は処置室から飛び出した。

壁をつたって、廊下の車椅子に座る。


初めての車椅子は難しい。


でも、一生懸命一人で。



病室に戻らなきゃ。



彼をもう一度見たい。





あの優しい手をもう一度握りたい。





案の定、病室に彼はいた。





「仁くん…! 」




一瞬、彼は笑顔になった。


でも、私の車椅子姿を見て
また、悲しい顔をする。



「 夢…。」





「 仁くん…」





話したい。彼と話さなきゃ