「 佐伯いちかさーん。 」


看護師さんに呼ばれたいちかは笑顔で振り返る。



「 もう、行かなきゃ。夢お姉ちゃん今日はありがとね! 」



そう言って、ゆっくり。



踏みしめるように一歩一歩進んでいった。





いちかも、怖いんだろうなぁ…。






私が支えてあげなきゃ。






私、いちかのお姉ちゃんだもんね。





まあ、ただ呼ばれてるだけだけど。




私は気分が良かった。





さっきまで、身体中が痛かったのが、嘘のように。





抗がん剤になれたのかな?





それとも、自分を慕ういちかに癒されたのかな?