忘れてはいけない思い出。
今、思い出した。
こんなに好きだったじゅんのこと、
なんで忘れてしまったんだろう。
涙がぽたぽたと落ちてくる
手で何度拭っても、止まらない涙。
「おい!泣くな。
……なぁ、咲田。 」
「 じゅん!鮎川純…!
思い出したよ。」
涙とか鼻水とかでぐしゃぐしゃな顔でも精一杯の笑顔をつくった。
「 やっとか。」
「 じゅんは気づいてたの?
私が夢だって。」
「当たり前だろ。
あんなに愛した女の子忘れるとか最低じゃねぇか。 」
「 そっか…じゃあ私は最低だね。」
「 ゆめは最低じゃない。」
「 ううん…。最低だよ。
あの時、確かにじゅんのこと好きだった。大好きだった。なのに、仁と付き合ったもん。彼氏つくらないって約束だったのに。 」
じゅんは私の頭を優しく撫でた。
「 大丈夫。
今はもう付き合ってねぇんだろ?
まだ、遅くない。
俺と付き合わねぇか? 」
見た目は怖い。
でも、あの時の私は彼の優しさを知っていた。
今も変わらず優しいね。
あんな最低な私を許してくれるなんて。
私は何も考えずに立ち上がって
じゅんの胸に飛び込んだんだ。