「 先生…!夢は大丈夫ですか?」
「 今のところ…まだ…。」
「 先生は医者でしょ?
なにが…!」
「 やめろよ母さん。みっともない」
「澪!黙って。 」
聞こえるのは私の大切な人の声。
私、生きてるの…?
なんで?
屋上から飛び降りたのに…。
私はそっと目を開ける。
母さんが私の手を握っていたから
私は強く握り返す。
「ん…?夢…。
夢!わかる?母さんよ。 」
私は酸素マスクをつけていたから、
丁寧に外す。
「母さん…!澪。奈津子先生。鮫斑先生。みかちゃん。 」
その場にいる人の名前を呼んだ。
仁はいないんだ。
自分になにがあったかは聞かない。
誰も何があったかは聞いてこない。
それから、私は日に日に回復していった