「 でも、もういいの。
仁は、夢と別れてもあたしと付き合う気はないから。
あたしは仁が好きだけど、仁は夢が好き。
それに、二人の中を引き裂いたあたしが、仁と元通りになることなんて不可能なんだ…それに、夢まで失っちゃったね。あたし…もう、誰もいないよ」


なるは泣き始めた。


小鳥みたいに可愛いなる。

なるには、泣き顔は似合わない。

にっこり笑うなるが好き。

上を見上げると、小窓から覗く夕焼け空。


「これ、仁が落としていった…
夢への…て…がみ。 」

なるはそういうと、泣き顔を隠し病室から消えていく。



何もかも失ったのは、私だよ…。


仁の手紙は握ってるだけで、仁の温もりを感じられるみたいだった。



仁…


好きだよ?



何度言っても、もう伝わらないこの思い。




いつもは、仁が靴だったんだね。








やっと気づいた。








気づいたころには、遅かったけど。