渡そうと思っていた指輪が床に落ちる。


ビーズが弾け飛ぶ。

カラフルなビーズが思い思いに飛んでいく。


まるで、俺の心の中。


「 なんで?なんでだ? 」


「これで、いいのかな?私ね、仁が本当に好きなの。だから、仁の幸せを奪いたくない。 」



「 何言ってるんだよ…充分幸せだぞ、俺。」


「 だめ…駄目なの。私、仁に甘えてばかりだから。」


「嫌だ。夢、好きだよ。だから、夢がいなくなったら俺はおかしくなってしまうだろ? 」


「 私、病気なんだよ?いつ亡くなるか分からない。だから、一回だけ。 」


「 でも…。」

俺が喋ろうとしたら、夢が俺の唇に軽くキスをする。


「 いつかまた、私が退院したら付き合ってね?お願い。ちょっとだけ、距離を置こう…?」



俺は耐え切れなくなって泣いた。


夢の前で初めて泣いた。



「 どうして…なんで、好きなんにわかれきゃいけねーんだ?こんなにも好きなのに。 いつか、なんて来るのか?」


「 ごめん、わかんない。」


夢も泣いていた。




二人とも、本当に好きだったんだ。