「ぐあぁああ!」


叫び声が聞こえた。
あたしのものではなく、男の悲鳴が。


はっと我に返ると、目の前で刀を振り上げていた男がうずくまっていた。


刀を落として呻く男の先には、
赤い鎧を着た男が立っている。


顔はよく見えなかったけれど、この人は……。


「あ、暁斉……?」


暁斉はすぐに男に刀を振り下ろしてトドメをさす。
動揺していた後の二人とも交戦し、
二人がかりだと言うのに攻撃をさらりとかわして刀を突きさした。


しばらく呻いていた男たちはやがて動かなくなり、
赤黒い血を零して息絶えた。


男たちの血があたしの足元まで流れている。
それを見てぼうっと考えた。
こうなっていたのはあたしの方かもしれない。






「お前は!何をしているんだ!
 こんなところに……正気か!」


突然怒鳴られて耳がキンとなる。
やっぱり、暁斉だった。


顔を上げてみると暁斉の顔がはっきりと見えた。
良かった、暁斉が生きていた。


「屋敷にいるはずだろう。どうしてこんなところにいる?
 もしかしてここに飛ばされたのか?ん?」


「あ……たし、雪姫様からの伝言を……」


「バカか!ここは遊び場じゃないんだぞ。
 お前は現に先ほど死んでいたぞ!」


「でも、でもあたしは!
 暁斉に死なないでほしくて……っ!」