あたしは、誰の為に泣いているのだろう。

 苦しい気持ちは行き場を失い、声を上げて泣く事で救われるはずもないけれど……。

 今夜は色んな思いに心が悲鳴をあげた。

 この温かな腕を抜けたら、その先には幸せがあるのだろうか……。

 一晩中優作の胸の中で思い続けた。

 でも、もう一つの胸の中を想像していた。

 手に入りにくいモノほど、愛しいと思うのは本能なのだろうか。


 数日、翔吾から電話もメールもなかった。