携帯の音に目が覚めた。

 カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる。

『もしもし……』

 それは翔吾だった。

『寝てたか?ごめんな。今優作と別れたから、もうすぐお前の所に着くと思うよ……』

「えっ……」

『嬉しそうに話してたからさ、お前の事自慢してたぜ。俺の知らない桜が、沢山いたよ』

 その声は何処か寂しそうだった。

『やっぱり、逢わない方が良かったのかもな……』