「今夜は泊っていこうかな」

「えっ!」

 優作が泊る=翔吾に逢えない。

 一瞬にしてこの方程式が頭を巡った。

「……ごめん……明日早いんだ……」

 嘘をついた。あたしはこうやって、幾度嘘を重ねるのだろう。

 俯いて小さくなる。優作の大きな手が、クシャクシャと頭を撫でた。