鐘から目を離し、声のした方へと視線を向ける。


そこにはこれまた綺麗な女性が君臨していた。


いや、君臨って失礼だな。


歳は20代前半。

焦げ茶色の髪の毛は、ショートカットにされていて、それが小さな顔と細い身体にマッチしている。


これを綺麗と言わずなんという?


芸術作品か!

そうか!

例のあれか!


「…あの…お一人様でしょうか?」

「んにゃ!?あっまあそうですけど…」









「…千早?」





あたしがしどろもどろに答えていると、女性の向こう側から聞き慣れた声が飛んできた。


身体を傾けて、女性の向こうを見る。


黒髪にダークブルーの瞳。

黒いYシャツに同色のスラックス。

モスグリーンの腰エプロンをした、


カイトが、そこに居た。







…………は…






……鼻血モンですぜ…ッッ!!!!





「ちょっなんすかそのウェイターコスプレ!!!?」

「……千早」

「どういうことっすか!?何それなんのトラップ!?」

「…千早」

「もしかしてイベント発生!?マジで!?あたしセーブポイントすらわかんなかったよ!?」

「千早」