「協力するってなんか違うか?」
照れ臭そうにあたしを見下ろして頭を掻く瑞希。
あたしはニヤニヤと笑ってみせる。
「ぷっ…いえいえ、瑞希さんにしては…ぷくくっ…上出来なのでは…?」
口元に手を添えて言うと、瑞希はやっぱり。
「ちーちゃんちょっとは俺の見せ場大事にしてくれよ!!!!俺脇役なんだからね!!!?」
案の定ノってきた。
「脇役ですって…ふっ…可哀想にまあ…」
「コンニャロッッ!!!!」
「にゃわぁあ!!!?
【ミズキブラックが襲いかかってきた!!】
どうする!!!?
コマンド
・逃げる
・逃げる
・逃げる」
「…って逃げるしかねぇじゃねぇか!!!!」
瑞希のツッコミを背中で聞いて、あたしは学校へと向かって走る。
その後ろを瑞希が駆けてくる。
あたしはいつの間にか笑ってた。
気付けば夕焼けがグラウンドを染めていて。
部活の掛け声が響いていて。
あたしはその中を駆け抜けて行く。
瑞希はあたしを追い越して行く。
それをまたあたしが追い越して行く。
そんなあたしたちを、
夕焼けに染まる校舎の窓から、
ダークブルーの瞳が見下ろしていたなんて、
あたしは気がつかなかった。