【電波的マイダーリン!】
そのゲームには、規約があった。
“本気で恋をしてはいけない”
もし、本気で恋をしたならば、その時は、
ゲームオーバーだと……。
「おや、なんだか目が丸くなってますねぇ?千早さん。
あ、もしかして私の格好ですか?趣味なんです。すみませんねぇ?
それとも電柱の上に居たことですか?
新開発したイリュージョンセットを試しに使ってみただけですよ?
決してファンタジーアニメじゃありませんから♪」
淡々と、あの電話の時と変わらない口調で喋るアルファさん。
表情は笑顔ではあるけれど、それが本当の笑顔なのかはわからない。
とにかく、あたしは愕然としていた。
それだけだった。
あたしは、規約を破った……?
何も言わないあたしに、アルファさんは一歩近づく。
「随分と驚いているようですねぇ。ゲームオーバーと言われて、ショックですか?
…まあ、あなた方が規約違反をしていたことくらいわかっていたんですけどね?
これは恋愛シュミレーションゲームですし、ま、千早さんがキャラに告白さえしなければ規約違反にはならないかなぁと思ってたんですけど…。
もともと、このゲームは“キャラが自分を好きになるように”するゲームでしたからね。
……残念でしたねぇ。そういうわけなんで、キャラは返却させていただきます♪」
右手をこちらに差し出すアルファさんに、あたしは何も言えないまま。
ただ硬直して、その手を見つめるばかり。
そんなあたしを見て、アルファさんがため息をつく。