「…このままじゃ夜が明けるっていうのよ」

「神社でオールとかレア初体験ww」

「それ、あんま嬉しくなくない?」

「…走るか」


最後のカイトのセリフに、「は?」と三人同時にカイトを見る。

カイトは当然という風な表情で。


「走るしかないだろ」

「…いや、走れないからこうなっているわけでしてね…?」

「はぐれなきゃ間縫って行ける」

「んにゃ!?」


突然、手を握られたあたし。


「千早は美山の手、ね」

「な、なるほど…ってことで花梨、ハンドインハンド!!」

「いちいち英語にする理由がわかんないわよ」


言いながら、あたしの手を握る花梨、そして花梨の空いている手を瑞希が。

それを確認して、カイトが口角を持ち上げて。


「じゃ、走るぞ」

「アイアイサー!」

「オーケーよ」

「まかせろ!」


それを合図に、カイトがあたしを引っ張るように駆け出し、あたしはそれに続く。

あたしの後ろから花梨と瑞希が走り出す。


なんだかそれが面白くて、楽しくて。

気がつけば、みんな笑っていた。

温かかった。

とても寒いはずなのに、不思議なくらい、温かかった。