なので、みんなゆっくりと料理を楽しんでいる。

会話も弾んで、すごく楽しい。


「…いいわよね、こういうの」


不意にそう呟いたお母さんに、みんなのお箸が止まる。

お母さんは自分を見ているみんなに、笑いながら言う。


「まったく、こういうお正月を迎えたことなかったからね!今年はなんだか、いい年になった気がする…。

千早とわかり合えて、家族が戻ってきて、カイトくんも加わってくれて、みんなで笑い合えて……

…すごく、温かいよね」


言いながら、なんとなく声が震えているお母さんは、それを誤魔化すように伊達巻を口に入れた。

一瞬、しんみりと、けれど温かい空気に包まれたテーブル。

静かなそれを破ったのは、カイトで。


「…俺も、いいと思いますよ。こういうの」


本当に、心からの言葉に、あたしは自然と笑みがこぼれた。


カイト、ありがとう。


心の中でそう言って、あたしは立ち上がった。


「よし!なんかしんみりしちゃったので、あたしがアニソンを熱唱してしんぜよう!!大丈夫!音痴ではないよ!!」

「じゃあ上手くもないんだな」

「黙らっしゃいカイトくん!!何を歌って欲しい!?さぁさぁなんでも言ってくれたまえ!!」

「そもそもアニソン自体知らないから」

「じゃあ千早さんが選んであげようジャマイカ!!」


この一年でツッコミが上手くなったカイトに内心驚きながらも、あたしはアニソンをマジで熱唱した。

ご近所さん、すみませんm(__)m