瀕死状態な顔をしながら、キッチンへと向かう。

いろいろと並べられた食材を見て、あたしは“そう言えば”と思いだす。


そう言えば、おせち料理なんかを食べるのは、いつぶりだったっけ?


まだ離婚話が出て居なかった時でさえ、両親は仕事に追われていたし。

ろくにお正月を祝ったこともなかったと思う。

今年は、やっぱり違うみたいだ。


そう思ったら、なんだか嬉しくなってきて、眠気も吹っ飛んでしまった。


「おせち料理作るなんてホント久し振りね~!さてさて、何から作ろうかしら♪」


楽しそうに腕まくりをするお母さんを横目に見て、あたしも楽しくなってきた。











完成したおせちは、とても豪華なものになっていた。


「すごいね。どれも美味しそうだ」

「いやぁ、お父さんもこんなおせちは初めて見た!」

「……どっかの料亭みたい」


男性三人組の言葉に、満足気に頷くあたしとお母さん。

ホント、食べるのがもったいないくらいの出来である!!

我ながら写真撮りたい感じだよ。


「ではでは、いただきま~す♪」


お母さんが手を合わせ、みんなそれぞれ食べ始める。

日付が変わるまでには、まだしばらく時間があった。