だから、もう、大丈夫。

もう、進めるよね。


お互い、“兄妹”になれるよ。











「……一ノ瀬カイトくん…だっけ」


幾分かスッキリしたような表情をした葵が、あたしの後ろに居るカイトへ視線を向ける。

カイトは葵を見つめ、頷く。


「…君、すごく怒ってるように見えるんだけど、僕の気のせいかな」


え゛っ。

と、振り向いたあたしは、確かに不機嫌オーラを放つカイトを見つけて苦笑した。

やっぱダメだったか!?

葵を抱き締めちゃったからイケない感じですか!?

あたふたし始めるあたしをよそに、カイトはゆっくりした足取りで、葵の目の前に立つ。



「そう見えるなら、そうなんじゃないの？」


葵は穏やかな表情で、カイトを見る。

カイトはそんな葵を、スッと細めた鋭い瞳と眼光で見据え。


「……あんた、葵っつったっけ？
…悪い――…










…――一発殴らせろ」