“そろそろ”

その単語が、小町さんの予想していたものと、きっと繋がっている。

“そろそろ”

それは、この一年間を費やさないと、どうにもできなかった時間のこと。


「まずは、謝ろう。

…チィ、本当に悪かった。

酷いことをしたと僕も思っている。


…けど、そうしなきゃ、僕はどうにもできなかったんだ」


葵の表情が苦しそうに歪む。

わかっていた。

葵だって、苦しんでいたんだ。


「チィと家族になった頃は、ちゃんと“妹”として見れていたのに…

…いつからだろう、見れなくなったんだ。
チィを、“妹”として。






……つまり、僕はいつからか、チィのことを、“女の子”として好きになっていたんだよ」






それは、あまりにも残酷な告白。

痛い。

胸が痛い。

こんなのって、ない。


「…おかしいよな…仮にも家族だっていうのに、好きだなんて。

でも、一人で寂しそうに笑うチィを見ていたら、守らなきゃと思った。
一生守っていきたいと思った。

……そんな時だったよ、離婚の話が出たのは」