その翌日、あたしとカイトは、小町さんにお礼を言ってあの部屋を出た。
『ま、人生いろいろあるからさ!気にせず生きていきなよ!』
実に軽く、小町さんは笑顔で手を振ってくれた。
あたしはそんな小町さんが、とても大きな人に見えた。
花梨と瑞希に報告の電話をすると、二人とも同じような答えだった。
『ここから応援してる』
そんな答え。
どうやら、二人とも、この問題には深く首を突っ込まないでくれているみたいで。
つまり、これは“あたしの問題”であって、みんながとやかく言う問題じゃないってこと。
だからあたしは、今日、決着をつけるつもり。
家に向かいながら、隣を歩くカイトの存在を感じる。
それだけで、なんだか強くなれるような気がした。
約三日ぶりに見た我が家は、特に何も変わって居なくて、それは当たり前かと思いながらも、なんとなく寂しくも思えた。
よそよそしいような気がする。
一瞬、竦みそうになった足。
けれど、ここで踏ん張らなければ、あたしはずっと今のままで。
家の目の前で止まってしまった足を見下ろすあたしの手を、突然カイトが握った。