それから、小町さんはちゃんと話をしてくれるみたいで、紅茶を淹れて、あたしとカイトをテーブルにつかせた。

その向かい側に、姫華と小町さんが座る。

姫華は超不機嫌らしく、ずっとそっぽを向いている。

小町さんは、紅茶を一口飲んで、静かに話しだす。


「……うーん…何から話そうかしら……。

…そうね…まあ…。


…まずは、この部屋のことから話そうか」


この部屋。

確か、いろいろあってまだ引き払っていない、と小町さんが言っていた。

家具もそのままの、部屋。


「もともと、私と母はここに住んでてね。ま、それは知ってると思うけど。

ある日ね、母が突然“再婚することにしたの!”とか言うじゃない?
私はもちろん、なぁんにも相談されてなかったわけ。
でも、怒る暇なんてなくて、次の日には、新しい父が家に来たのよ。

…姫華を連れてね。

うーん…と、確か、姫華は…何歳だったかしら…?」

「高校一年になったばかりの15歳なの!憶えてよねそろそろ!」


紅茶をガブガブ飲みながら、姫華が口を挟む。

小町さんは「ごめんごめん」と平謝りをしつつ、続ける。


「そうそう。で、最初の頃は、すんごい仲が悪かったのよね、私と姫華。
口もきかないし、酷い時には顔も合わせないくらい。

…2人とも、親の再婚に反対してたからね。

そりゃ、仲良くなんてしたくないっての!しかも、姫はチョー生意気だし!」

「なんですって!?私よりお姉ちゃんの方がチョー最低だし!
口より手が速い!これ以上最低なことってないの!」

「先に突っかかってくるのはどっちよ!」

「私だけど!でもそれはお姉ちゃんが余計なこと言うからでしょ!」

「あら、私はいつもホントのことしか言ってないんですけどー」

「ムキィ――ッッ!!!!」





……なんとも賑やかで、仲の良い姉妹ですこと…。