空には薄い雲が流れるように形を作っている。
あたしはベランダの柵に顎を乗せ、それを見上げながらまったりと。
「秋だねぇ…」
「そーだねぇ…」
「秋と言えば、もうすぐ学園祭だねぇ…」
「そーだねぇ…」
「っていうかねぇ…」
「なんだーい…」
「女子のカーディガンの袖の先から出てる指って萌えない?」
「ちーちゃん、キミ、一応女子ね。」
瑞希とまったり気分でオタクな会話をしていると、肌寒い風が吹くというのに眠くなってくる。
うん。
まあ、昨日ひっさびさにネトゲでオールしたんでね。
眠くなるのも当たり前だよってね。
なんて思いながら欠伸をしていると、突然、隣で同じように欠伸していた瑞希の「ぐはっ」とかいう悲鳴(?)を聞いた。
あたしがそちらに視線を向けると。
「いってぇ…何すんだよ一ノ瀬ぇ!!俺の頭がバカになったらお前のせいだぞ!!」
「その時は俺が勉強見てやるから安心しろ」
「てめっ…上から目線!?」
「そう思うならそうなんじゃない?」
「ムカつく!!俺お前との口喧嘩絶対勝てねぇ!!(号泣)」
瑞希とカイトの仲良さげな乱闘…じゃないな、プロレス…?みたいなシーンが目に入った。
この二人、なんだかんだで結構気が合ってるらしい。
瑞希と居ると、カイトも楽しそうだし。
何より……
……ちょっと子供っぽい無邪気な一面が見れるからうまうまである!!
とか思いながら、うまうま気分で二人を盗み見していたら、背中をポンっと叩かれた。
「おっはー千早。今日も朝から眠そうね。オール?」
「ハローみかりん。うむ、いかにも。ネトゲでさーちょっとパーティ組んでたら抜けられなくなっちゃってね…」