「――あ!もう一つ忘れてたんですが!!」


家に帰って晩ご飯を作っていたあたしは、リビングでお皿を並べるカイトに声をかけた。

カイトはカウンターに腕を乗せて、「なに?」と尋ねてくる。

あたしは今晩のおかず、冷しゃぶを作りながら。


「実を言うと、あたし、カイトと茉莉が一緒に居るとこ見ちゃったんだよねぇ…あれは何故?」


カイトは「あぁ」と思い出したように呟き。


「…茉莉には、俺の居場所、教えてたんだよ」

「何故(なにゆえ)!!!?」

「っつーか、出て行くとこ見つかって、仕方なくってとこ。ま、おかげでいろいろ話し聞けたけど」

「そ…そーなんだ…へ~……そーだったんだ…」


硬い笑顔を浮かべて意味もなく“そーなんだ”を繰り返すあたし。

ネジが一本取れたロボットみたいだ。

…コラそこ!

“いつものことだろ”とか言わないの!!


…いいもんいいもん。


「……カイトには冷しゃぶあげないもん…(グスグス)」

「なに、ヤキモチ?」

「うるさい電波遮断壁で家加工するぞコンニャロー。」

「俺、動かなくなるけど」

「……じゃあ、やめる」


あたしは一人でブツブツ文句を言いながら、夕食の支度を終えて、テーブルにつく。

“いただきます”と手を合わせて食べ始めようとした瞬間、あたしはあることを思い出し、カイトに聞いた。


「……あのですね?ちょっと尋ねたいんですが…」

「ん?」

「カイトさん。もしやと思いますが、茉莉さんに告白…されたりしてません?」

「されたけど」