その言葉に、吸い寄せられるようにして、あたしはカイトの手を掴み、彼の膝の上に乗る。

あたしの涙は止まらない。

それを小さく笑ったカイトに、しがみつくようにして抱きついた。

カイトの手が、あたしの腰に回り、もう片方はあたしの頭を撫でるようにして包む。


温かい。

優しいぬくもり。


カイトに抱き締められると、あたしはいつも安心する。


「……カイトって、いつも温かいよね」

「そう?千早、寒がり?」

「そんなことない…と、思いたい」

「素直に認めろよ」

「……電波のクセに…」

「うるさい」

「あ、でもこれってハッピーエンドなの…?」

「や、まだ」

「え、なんで?」

「説明書に書いてなかった?」

「…特に…何もなかったような…」

「ふぅん……。このゲーム、俺がプレイヤーにキスするまで、エンドになんないらしい」

「えっ」

「だから、俺、今理性保つのに必死」

「にゃっ!?」


驚くあたし。

だってさ、それじゃまるで――…。


「そういうこと。



……俺、千早と離れる気ねぇから」




―っていうか、離す気ねぇし―




甘くそう、耳元で囁いたカイトは、あたしの頬にキスをした。


赤くなるあたしに、余裕しゃくしゃくの意地悪な笑みで、カイトは言った。



「“今は”これで我慢ね」