思った以上に俺は悩んでいたらしい。
「どうしたの?響」
美鈴の声がきこえた。
少し動揺したが、表情には出さず咄嗟に嘘をつく
「いや、夏は大丈夫かと思って」
実際夏のことは心配だった。
女嫌いでぶっ倒れていないだろうか…
入学式という厳かな儀式は無論男女ごちゃ混ぜで行う。
幸い席はある程度自由だから女子に囲まれないよう回避はしているとは思うが…、
下手な男に囲まれているのも困る。
そう考えたら益々心配になってきた
そんな俺の表情をみて美鈴はクスクス笑い出す。
「大丈夫よ、夏の隣には朔夜と真守が居たわ」
「…そうか、なら良かった。」
安心した。
あの2人なら、多分、大丈夫だ。
…別の意味で夏が可哀想だが。
「なに〜?あの2人ここ来たの〜?」
俺達の会話に瑠衣が入ってきた。
「今朝も校門で会ったんだ
ね、響」
「あぁ」
「この学校大丈夫かよ…」
「南の奴等恐いよ〜」
その言葉に視線を逸らさずをえない。
もとよりフリーダムな性格の彼らは南町というレッテルを抜きにしても学校でかなり有名だ。
「…大丈夫だろ」
そう思うしかない。
小さく呟き時計をみると、そろそろ入学式が終わる頃だ。
教室に戻らなくてはいけない
「戻らねぇとな」
美鈴と要がシンクにティーカップを置いたのを確認して立ち上がった。