彼らは南町の子だ。
南町の住人はあまり他所へ出たがらない。
その証拠に南から通う学生はパンサーという族に所属している男だけだ。
それでもここに通うパンサーですら十数人という人数
パンサーの面子に聞いた情報によると、南の学生は皆南町にある学校に通っているらしい。
惹かれるかの様にその2人をみていたら、
その視線に気づいき、色香を漂わせた少年がこちらに気づいて流し目で視線を寄せた。
あの子のことだからきっと無意識だろうけど…、
危ない子だなぁ…
思わず今までとは別に自然と困った笑みを浮かべて眉間に皺が寄ってしまう。
ちらりと響を盗み見してみると、
本当に渋い顔をしている。
結構性質の悪いことをしてきたその美少年は、白い肌によく映える自前の真っ赤な唇を引き上げ、微笑んだ。
実に困った子だ。
彼の名は藤崎朔夜。
パンサーの幹部だ
そして彼、朔夜の隣の子もまた困った子で、
朔夜の変化に気づいたのだろう。
その子もこちらを向いて、大輪の花が咲いたかのように朗らかに笑った。
それでまた、僕らの困った顔がさらに困り果てた顔になってしまう
彼の名は浦田真守。
彼もまた、パンサーの幹部だ
真守と朔夜は僕らに追いついてきた
「どうしたんですか?」
「何か落し物でも?」
「僕ら、そんな難しそうなに顔してる?」
僕の質問に真守が「んー」と言ってから教えてくれた。
「結構渋い顔、してますよ」
きっと、君達のおかげだよ。
2人の将来に少しだけ不安を感じていると、
「あの、」
朔夜が申し訳なさげに声を発した。