僕はちょっと困った顔をした。


「困ってんのはこっちだ」

「そんなこと言われてもねぇ…」


要するに、響は僕に捨て身であの女の子達をどこかに追っ払ってほしいと。


「響は僕を見捨てる気かい?」

「ちげぇ、人助けをしてくれと頼んだ気だ」

「人助けは自分でやるもんだよ。」

「お前は俺にあそこに飛び込んでこいって言ってるのか?」

「そういう意味になるね
さぁ、僕の為だ。行って来てよ、」

「っち」


舌打ちしなくてもいいじゃないか


「やっぱお前が行け、雄」

「そこは響が行くべきだ。
総長として僕を守ってよ」

「今それとこれとは別問題だ。」

「結構問題あるよ。」

「ねぇ」

「あるある」

「ねぇ」

「あるある」


そんなやり取りを繰り返していたときだ。

ふと、僕の視界に見覚えのある姿が2つ映った

僕の視線に気づいてか、
響もその2人に視線をむける。



どこか周りとは少し違う雰囲気を漂わせた2人は談笑しながらこちらに歩いてくる。

まだ僕らには気づいていないみたいだ。


1人は青のメッシュをいれた濡れたような黒髪で、正鈴高校の制服を心持ち程度着崩しているだけなのに、何故か色気が漏れている身長170cm程の美少年。

もう1人は明るいミルクティー色の髪をふわふわさせている可愛らしい顔立ちの、同じく制服を心持ち着崩した身長168cmの美少年。


その姿を捉えた響が


「そうか、あいつらここに入ったのか」


と言った。