「もう良いです」
どうでも、と付け足すのを忘れて言い直そうかと思ったけれど、灰原のキリとした眉がピクリとしたからやめた。
「よくない。あんなつもりじゃなかった」
じゃあ、どんなつもりですか。
「冷静になるべきだった。だけど君も悪い。タイミングが良すぎる。あの女まじでうざいし。つーか、君以外みんなうざい。ムカつく。」
言ってる意味が半分以上理解出来ませんが。
「とにかく…ごめん」
それは思いもよらず真摯で、反省を覚えた大きな犬みたいで、いつもは血統書付の猫みたいなのに。『大体、あんな顔されちゃ反則でしょ。理性試してんの?』と不機嫌にブツブツ言ってるのも、なんかもう、なんだこの人は、その行動全部理解不明過ぎて、
「ふは」
笑えた。