「今日も変わらず可愛くないね、君は。愛してるよ」

フフンと笑った横顔。最後の一言はとりあえず聞こえなかったフリをしよう。夕焼けに赤く照らされる景色は見慣れた男が横にいて、悔しい事にまるでこの男に同調するかのようにその容姿を引き立てる。


「にしても、君さ…「ちい様っ!!」


薄い唇がまた何か紡ぎ出そうとする前に、甲高い声がそれを遮った。


目の前に現れたのは、何ていうか、睫毛?うん、睫毛だ。どこよりも一番初めに目がいってしまう。フサフサで真っ黒で精一杯重力に逆らって上を向いた沢山の毛達。ご苦労様です、と言いたくなる。