灰原千景【ハイハラチカゲ】

名前はすぐに耳に入った。まあ、あれだけ目立てば当たり前だ。むしろ、バスケ観戦に連れられた友達の梓が「あんた灰原知らないなんて、人前で言ったら駄目だよ」と力強く言うから、なんでか聞けば、「だって、それで恋とか芽生える恋愛漫画くさる位見たもん」とかなり個人的趣味な返答が返ってきた。馬鹿だ、馬鹿。

灰原千景は、高校二年。あたしと同じ。確かに一年と半分もその存在を知らなかったなんて有り得ない。いくらクラスが違うといっても。いくらその名前や存在を目にする事が無かったといっても。