そうした経緯があり、それにあたしの存在自体が『取るに足らない』と判断したであろう女生徒達からの嫌がらせは特に無かった。
最近はほんとに時々、靴の中に画鋲が入っていたりする古典的なものと、机の上に『死ねブス』と落書きがある程度で済んでいる。それ以外は変わらない毎日。




―――そんなこんなで、今。トレーナーにジーンズ、いつものように髪は伸ばしたまま、あたしは『タコ公園』に来た。ちなみに『タコ』というのはどこかのメーカーが作ったバカでかい玩具がタコに見えるから。

そして、待ち合わせ時間ジャスト。初めて見る私服姿に何の感慨もなく、どこにいても目を引く男は悠然とやってきた。


澄み渡る青い空―――


この男にはその語句がなんとなく似合わない、と思いながら。