盲目的な下僕、いや失礼。熱狂的なファンという女生徒を従えているあの男は、幾人もあの偽王子の仮面を使って刺客を送りこんでくるだろう。
いや、直接手を下さずとも、意志ある彼女達はあたしの存在が彼にとって『不愉快』だと思うとすかさず『排除』にかかる筈
今まで、何日も一緒に帰ったのに、それこそ数え切れない程の女生徒に灰原が囲まれた事はあっても、あたしが大きな被害も受けなかったのは単に存在が薄いという理由だけではない。勿論、あったのだ、今となっては未遂の被害が。その時は、灰原が王子宜しく救助してくれた。
『まさか君達は、この儚くて消えそうな僕の友人に危害は加えないよね?彼女この間も女子生徒に突き飛ばされそうになったんだ。よくバスケを見にきて差し入れもくれる子だったんだけど、自分がぶつかった相手に罵詈雑言をぶつけるその神経が理解できないし、正直もう視界にいれる気もない」
悲哀めいた表情。確かにそんな事があった気がするけど、何故おまえが知っている。そしてやはりあの訳のわからない言いがかりは灰原絡みだったのか。儚くて消えそうってなんだ、とか突っ込み所満載のその言葉に、女生徒達はなぜか納得したのだ。
ちぃ様、もとい王子を煩わせてはならない、と。