それがあたしとこの男の出会いで、それから毎日、男は同じ行動をした。ある日「机の上に足を投げ出すなんてお下品でしょう」と貴族ばりに窘めた所、すんなり男は足をどかせた。


「ブスちゃん、俺って暇なんだけど?何か話せば?」


…魔王だ。魔王が現世に光臨した。早く送り返さなくては。


「聞いてんの?」


舌打ちをする魔王は、その綺麗な顔を不機嫌に歪める。それでも整った顔は、絶対零度、とかそんな雰囲気のある単語が似合いそうだ。ってあたし下らない。

「…何のお話をご所望でしょう」

やっと呟いた声に魔王は満足気に頷いて、

「××を×して○○○に××する話」

低い美声と共に微笑んだ。

「…破廉恥なっ」


そう、濁音で誤魔化して、尚且つ音声変換しなければならないような卑猥な言葉をあっさりと吐く悪魔。