そういえば、重たい空気の中で二人をよく見ていなかった。

黒い流れる髪が彼女を明るく見せ、表情は常に笑顔で暗き心はまったく見えない。細身の彼女が戦場にでるなど、知らない人間は思いもしないはずだ。

エグゼルの方がリオンより慎重が高く、髪の毛は単発。筋肉ががっちりしているように、着ている薄着から見てわかるほど、しっかりと鍛練しているようだ。




「二人には自己紹介をしてなかったね。

明日から十二重隊の将となるリオン・ギィスです。ここの事では二人の方が先輩ですので、最初はお世話になると思いますが、これからはよろしく」

「いえいえ、実践ではこちらが学ぶ方が多いと思います。互いに協力しあいましょう」

「そうですよ、リオン様。互いに知勇を高めていってこそ、軍の指揮が上がるというものです。

私達が協力するのは当たり前のこと。こちらこそよろしくおねがいします」



改まったご挨拶はこれでおしまい。後は二人のここでの生活や、魔法に関しての初歩的な智恵。風絶流の修練の内容等、私事の話のやりとり。これが一番、互いを知るいい方法だ。




明日はいよいよ儀式ということもあって、日の暮れぬまに別れ、与えられた部屋へと宿から移った。