同じ宿で別々に部屋をとったためか、リオンが帰って来た音を聞くと、リルは直ぐに自分の部屋を出て、隣の部屋をノックして入る。


「リル、帰ってたのか」

「あんまりいい情報を手には入れてないけどね」



リルの方も、噂で聞く水地を話されたようで、二人が知っている場所はどうやら同じのようだ。場所は、試験で行かされた森で、今は棲息地帯が乱れているために、調査を行かせるのに参っている様子で、そこに何が棲息しているのかはまだ確証が無い。


次の日の朝、二人は戦闘に必要な道具を持ち、ギルドに一度訪れてから、森に向かった。ギルドには一度、旅の出発と報告が義務付けられているためでもある。



森の中には前と同様で霧が視界を狭める。この霧はもしかすると、水地から放出されている可能性がある。と考えると、やはりここにそれらしき場所があるのは確定しているかもしれない。


道なりに進んでは、森を抜けてしまうため、茂みに歩みを外して奥に進む。近づいているせいか、ほんの少し前しか見えないぐらいまで濃霧となり、リオンは逸れないよう、リルの手をとり急いだ。




濃霧を抜けると急な風で視界は広がり、眼の前には青く濁った湖が姿を現した。


「これが噂の水地…か」

「この水、微弱だけど酸が混ざってるよ」


湖の中の生物はまだ生きてはいるが衰弱しており、身体が変化しており、今にも死に絶えそうだ。


「ねぇ、リオン。あの真ん中に見える真ん丸いのはなんだろ?」


言われて気付き、湖面の中央に眼をやると、丸く形成されたコアらしき物体が水中をウヨウヨとゆっくりと動いている。不思議なもののために、あれが何かの原因を作っているように見えて、溜息を吐いた。