それから陽の消えた頃、待機室に待たされた合格者達が、帝都の外に連れられた。その数は十二人。

リルとメイリンも何とか課題をクリアできたようで、その場にいる。



「わざわざこの場に来てもらってすまない」



そう口にしたのは、グレイスで有名な【雷神鬼】と呼ばれる、サン・バリューナ。

最高峰のランクに達つ強者であり、この大陸の三本指に入る実力。その呼び名通り、雷力を操る。



「先輩からの注意と受け取ってもらおう。

最近、魔物の棲息形態が荒れている。どのランクの依頼でも、危険予測した準備を心掛けてほしい。

まだまだいうことはたくさんある。それは他のグレイスや、マスターに聞くといい。

これから、一つの映像を見てもらおう。調査隊が撮影した幻想透視のものだ」



バリューナの横に、カメラに近い機械をもった一人の若者がセッティングをする。城壁をつかってそれを映し出し、説明を付け加えながら話を進める。


その映像は大型魔物が残酷な程に小型魔物を喰い、多少の力を吸収しているのか、身体の一部が造り変えられていた。

それは弱肉強食の世界には有り得ない能力であった。魔物は吸収能力をもつのは植物系であり、特に動物系はもつことがなかったはず。


「いよいよ始まる…、世界の面に…」


その小声がした方を向くと、あの預言者がいた。周りを関係なしにそれに近付こうとすると、預言者はニヤッと笑って、背景に溶け込んで消えた。



「世界は変わり始めている。我々も変わらねば生きることはできない。

無理に抗うな、生存を常に考えるんだ。これから君達はグレイスと名乗るのだから」