陽がまだ昇りきっていないとき、砕け散った石版の音が、その場に響き渡った。

そのやり方を見ていたものは誰もいない。破砕したという結果しかそこには残っていない。もしかしたら、誰もが自分自身の事しか考えていない状況を待って行動をしたのかもしれない。







(そういうことねぇ〜、一点に集中すればいいわけだ)

ヤンクスだけはそれを見逃さなかったようだ。心の鍵を開け、目を閉じて石版を見る。

槍の刃先に雷を小さく圧縮し、石版に見えるこの広い空間に小さく佇む魔力か、はたまた気力なのか、それに狙いを定め、その刃先をそこに添え、軽く振り抜いた。


―――バキ…バーッン―――




周りに飛び散る砕けた石版の破片が、クリアの証を明かした。ヤンクスはクリア二人目の通過で、立て続けの破砕に皆が最初から出来たのではないかと騒然している。



「ま、要は石版をどう捕らえるかといったところだな」




楽だったなと言わんばかりに、苛立つ笑みで皆を見返していた。




この岩を壊すのに…、あの力が必要だというのか?くっそ…。俺自身、秀才に驕れていたのか…。

ヤンクスとの距離等、まったく見えていない。これをクリアできなければ、近付ける気配もない。必ず壊す!!