「おやおや…、前回よりも十数人多いとは…、何かが起きる前触れなのでしょうかね。

三十と…三人ですか。ですが、今回は前回と内容が違い、ここからは個人の力を示させていただきますよ。

やはり、最後の頼りは仲間よりも自らの持つ力ですからね。

最後試験はこの岩を砕くことが、グレイスに必要な力を持つこととなります。やはり、相手を制止させるとどめの一撃は重要です。

期間は陽が沈むまでとしましょうか。では、成功を願いますよ」




読めない文字で描かれた、石版に近いもの。これは岩とみるにしては少し小さいが、それは人数分存在し、一人が試しに斧で力強く石版に投げ付けた。



―――ピシピシッ――


普通なら割れるだろう衝撃が石版を伝い、亀裂が幾つも走る。だが、一定時間経つとそれは魔法で時間を戻されたように元の状態に戻った。


「どうやら、一筋縄では行かなそうだな」


ヤンクスはそう呟くと、槍を肩にのせて、怠そうに石版を調べにいってしまった。





(割れずの門…。これを割るのはグレイスでもCランクの実力派でなければやれない。

今はもう、戦う意志だけでは前進できないほど時が経ちすぎた。闇は強く…、棲息地帯は荒れている。これをクリアできる人間が少しでもいなければ、予言された闘いに…、未来がない)