司仁の五日前、十二番重隊に就任することになっていたリオンは旅仕度を終えて、森へと繋がる道の町の入口で、別れの挨拶をしていた。

「いよいよだな、頑張ってこい、リオン!」

「あぁ、今までありがとな、親父」



司仁とはこの世界で言う成人。その日から、国に仕える身として働くこととなる。ここからは三日と掛かるリグレンの中心地、ハルグベールの街に行きて重隊の長として活躍せねばならない。

重隊が創られるようになったのは極最近で、二年前から出現したある種の生物の討伐を命じられた兵隊である。他国との戦争の補助要員でもあるため、忙しい日々が続くと云われる。

だが、それも覚悟の上。昔に見た出来事を再び起こさぬよう、実力をつけて志願したのだから、恐れるのは…。



「行ってくる」

それを言い、親父に対して背を向けると、村の囲いを抜けて、まっさらな草原を抜ける。

この草原は吹く風が心地よく、よくここで寝たものだったが、その日々にも別れを告げねばならない。

「またいつか…だな」



手を地に付けて、それをぐっと握るとすぐにある森の中へと進んでいった。