「貴様…、ふふふ、漸く見付けた!!」



アシャは不適な笑みを浮かべながら、闇の剣をにぎりしめ、エグゼルに放ったあの輝りを放つ。リオンはそれに対して、紅い閃きで対抗し、ぶつかり合った空間に衝撃が走る。

その衝撃の中をくぐり抜け、風斬る高速の剣でアシャが剣で対応をするものの、斬り付ける。

回転から放った下からの振り上げに、アシャの剣を上空に弾くと間髪入れずに技を繰り出した。



†断風裂嶄†

空を切り裂く剣はアシャの身体を通り過ぎ、一瞬にして数多の血飛沫が噴き出る。

だが、この接近を待ち望んでいたようにニヤッと笑うと、小さな声で魔法に使う詠唱が呟かれ、左手に炎が顕現した。リオンは気付くのが一歩遅れると、後ろに退けようとする体勢に、その炎が身体を巻き込んで吹き飛ばされた。

「グハァ!」

リオンは立ち上がるが、アシャの姿は空に浮き、殺気に満ちる顔と、何かに悔やんだ怒りの舌打ちが聞こえると、そのまま大陸に戻っていった。



ひとまずは危機を逃れはしたが、接近に魔法を加えたあの戦法には、少し退けをとる。あんな戦い、今の国の士では誰もできやしない。まだまだ自分は弱いと痛感した。



「前方ニ里、渦潮出現!!」

船前方を走るマクスの船の合図で得た情報に、舵取に面舵一杯と、帆が裏だたぬよう命令し、回避をしようとはするが、操船虚しくそのまま真っ直ぐと進んでいく。

マクスの船が渦潮の中央に飲まれていく光景を目にするものの、リオンの船も回避することはできず、この大いなる海に成す術なく藻屑となりて、飲み込まれていった。





(これ…で終わりは…)