まさか…、人間の姿が飛んで来るとは…。新たなる異種の形、それがアシャと名乗る大陸から飛翔せしものであった。

滞空する状態から、闇に燃えたぎる炎の塊を飛散させ、船に配置していた弓隊に降り注ぐ。魔法系統の能力のはずだが、いくらなんでも力の顕れが早過ぎる。あの大陸にはレベル差の有りすぎる異種が絶えなく生息していると、確信を得てもおかしくはない。



「皆、下がれ!リース、援護を頼むぞ!!」



船の上空に飛び翔け、槍に風力を纏い、鋭い回転で渦めく風の流れを放った。

†空牙翔†



アシャは空中を今は自由に駆け巡ることができるために、簡単に回避されたが、避けた方向へリースの放つ水の光線が八本、空間を貫く。


「馬鹿が…、そんな下等魔法が効くわけないだろ!」



直線に向かった水の光線は、アシャに直撃する前で屈折し、その攻撃がアシャを避けていった。

アシャは浮力を削り、船の上に降りてくると、闇力を纏いどこからともなく剣を出した。エグゼルは持ち出した武器に警戒し、アシャからの攻撃を待った。

アシャのただ軽く振った剣から紫に輝る大きな閃きが、エグゼルを真っ二つにするほどの痛みに変え、剣を杖の代わりに立てて膝を付く。


「リースもエグゼルも下がれ、ここからはこちらが持とう」

リオンが手入れしていた完璧に構えれば恐怖になれる。後はこちらからの攻撃に返ってこないかだけの生死の瀬戸際となった。