「なぁ弥殊」 晋ちゃんが歩調を更に遅くする。 あたしもそれに合わせながら聞き返す。 「弥殊に紹介したい奴がいるんだけど」 晋ちゃんの馬鹿。 あたしの気持ちも知らないで。 「いったじゃん。もうちゃんと自分で恋愛するって」 あたしが少しきつめに言うと、晋ちゃんは少し黙る。 しばらくすると、ゆっくり口を開く。 「本当は最初に紹介したかった奴なんだ。話だけでも聞いて」