「すみませーん。これもお願いします」


次々に籠の中にゼッケンが投げ込まれる。


練習がおわっても、マネージャーは仕事がある。


洗濯と部室の戸締まり、ドリンクの片付け。


意外ときつい、思ったより。


「どうせすぐ辞めるよ、絶対」


…さっきの子達。


どうしてもあたしが気に入らないらしい。


「中途半端な気持ちで真剣なうちらの邪魔しないで欲しいよねぇ」


わざと聞こえるように。


あたしの背後で言っている。


我慢しなきゃ。


部内で揉めるわけには行かないんだから。


「そーゆーのは、弥殊の仕事ぶり見てから言えば?」


聞こえたのは、いつもにこにこしてる晋ちゃんの声。


女子部員達は、晋ちゃんを見るとすぐに逃げていく。


「気にすんなよ?弥殊が頑張ってんのは俺知ってるし」


晋ちゃんがそう言ってあたしの頭を撫でる。


「ありがとね」


コップ洗いで手が話せないようなふりをして。


あたしは顔を見せずにお礼を言った。


つい涙目になったのは、晋ちゃんにはばれなかっただろうか。