その瞬間、反射的に伸びる手。




「・・・・・健ちゃん?」




俺は咄嗟に夕美の腕を掴んでいた。




「・・・・・行くな」




そう言うと困惑した表情になった夕美。




「なぁ・・・・・どこにも行くなよ。他の奴なんか好きになるなよ」




さっきの夢の光景が、鮮明に思い浮かぶ。




「・・・・・俺も、夕美のこと好き。他の誰よりも好きだ」




夕美の腕を握る手に、力がこもる。




何言ってんだよ、俺。




こんなこと言ってもほかの奴らと一緒じゃねぇか。




夕美を困らせるだけじゃねえか。