俺の姿を見て、よかったって二人は安心したような表情になって。
………俺、たくさんの奴らに心配かけてたんだな。
そして、かなも。
「全く、心配かけすぎ!」
と、やっぱり安心したような表情になって言う。
それからの俺は、何もかも頑張った。
勉強も、部活も。
たまに夕美のことを思い出して気分が落ちることもある。
だけど、そんな時には必ず傍で支えてくれる奴らが居て。
「ありがとな」
支えてもらう度に、口にする。
今言っとかないと、明日は言えないかもしれない。
当たり前な日常は、決して当たり前なんかじゃないんだ。
生きたくても、出来ない人がいる。
そんな人達のためにも、俺たちは毎日を一生懸命生きていかないといけないんだ。
決められた人生が終わるまで────。
Dear:大切な君へ。
久しぶり。
元気にしてるか?
俺は元気だよ。
君の死をちゃんと受け止めて立ち直るまでには、少しだけ時間がかかったけど、もう大丈夫。
ちゃんと立ち直れました。
ちゃんと何もかもを一生懸命頑張りました。
勉強も頑張って、三年生になる頃は学年で三番に入るくらい頑張りました。
部活も一生懸命頑張りました。
インハイ予選では、ベスト4に入ることはできたけど、優勝は無理でした。
受験は、希望の大学に受かることが出来て、そこでもまた勉強を頑張ったよ。
成績優秀賞って賞ももらいました。
すごいだろ?
そして俺は、この春無事大学を卒業して就職も決まりました。
たぶん、これからたくさんの辛いことがあるだろうけど、最後まで諦めずに頑張ります。
さて、ここからが本題です。
俺は、君に謝らないといけないことがあります。
君が必死で病気と戦ってるとき、俺は約束を破ってしまいました。
苦しんでいる君を見て、
もういい。もう頑張らなくていいよ。
そう、思ってしまったことがあります。
もう、君がこんなに辛い思いをするなら。
こんなに辛そうに生きるなら、もう頑張らなくていい。
そう思ってしまいました。
君と、最初に約束したのにね。
辛い君より先に、俺が先に応援することを諦めてしまいました。
辛そうにする君を見るのは、すごく辛かった。
もういっそのこと・・・・・死んでしまった方が楽になるんじゃないかって。
そんなの、俺が逃げていただけなのにね。
もしかしたら、あの時俺がそんなこと考えてなければ、君は少しでも長く生きることはできたのかなって、ふと考える時があります。
もしかしたら、病気が治っていたのかなって…………。
でも、そんなことを考え出すとどうしようもないので、今日でそんなことは考えないようにします。
考えたって、君は戻ってこないから。
君は手紙で、素敵な人がきっと現れるって言ってくれました。
それは、君にも同じだと思います。
そっちで、素敵な人が見つかったら、ずっと俺の事ばかり見守ってないで幸せになってください。
もし、俺よりも素敵な人が現れなかったら────.....
「こらー、夕奈。走ると危ないわよー」
「マーマー、パーパー。早く早く!」
俺は今、夕美の墓参りに来ている。
─────かなと、そして娘と。
俺のことをずっと傍で支えてくれてたかなと、大学を卒業するとき付き合い始めた。
そして、一昨年の三月に結婚。
去年の一月に、娘が生まれた。
「夕奈、おいで」
そう声をかけると、嬉しそうに戻ってきて俺とかなの間に入り、手をつなぐ。
するとその時、
「あっ、」
そう言って、夕奈が再び走り出す。
「あ、ちょっとゆう、」
「お姉ちゃん!」
夕奈が、一つの墓を指さして言う。
その墓は、夕美の墓で。
「あのね、ずーっと見守ってるよって言ってる!」
「っ………」
──────もし、俺よりも素敵な人が現れなかったら、俺らのことをずっと見守っていてください。
みなさんこんにちわ。
陽友です。
今回は初めてのブルーレーベル、しかも男性目線ということでかなり苦戦しました。
また、NKSTに応募していたのに今朝(9月22日)に慌てて完結したので、中身はまだ心残りな部分があります。
なのでとりあえず完結はしますが、これから少しずつ加筆修正をしていきたいと思います。
この作品の中身のほとんどはフィクションですが、極一部がノンフィクションとなっています。
そのため、この作品は最高の形で残したいと思っています。