次の日。




制服を着てリビングに降りた俺を見た親父達は、よかったって言って涙ぐんだ。




学校に行けば、




「はよ」




俺の姿を見て、蒼佑が駆け寄ってくる。




「………はよ」




なんとなく、昨日のことがあって蒼佑の顔を見れないでいると、




「よし!!今日も1日頑張るぞ!!」




と言って俺の背中を思いっきり叩いた。




「いっ、てぇよ」




そう言って笑うと、




「気合を入れてやったんだろ、気合を」




と言う。




「痛い思いするくらいならそんな気合い入れて欲しくねぇよ」




だんだんと、いつもの調子が戻ってくる。




「おーっす」




「おはよー」




その後、透と浩太も学校に来て真っ先に俺のとこに来た。




俺の姿を見て、よかったって二人は安心したような表情になって。




………俺、たくさんの奴らに心配かけてたんだな。




そして、かなも。




「全く、心配かけすぎ!」




と、やっぱり安心したような表情になって言う。




それからの俺は、何もかも頑張った。




勉強も、部活も。




たまに夕美のことを思い出して気分が落ちることもある。




だけど、そんな時には必ず傍で支えてくれる奴らが居て。




「ありがとな」




支えてもらう度に、口にする。




今言っとかないと、明日は言えないかもしれない。




当たり前な日常は、決して当たり前なんかじゃないんだ。




生きたくても、出来ない人がいる。




そんな人達のためにも、俺たちは毎日を一生懸命生きていかないといけないんだ。




決められた人生が終わるまで────。



Dear:大切な君へ。




久しぶり。




元気にしてるか?




俺は元気だよ。




君の死をちゃんと受け止めて立ち直るまでには、少しだけ時間がかかったけど、もう大丈夫。




ちゃんと立ち直れました。




ちゃんと何もかもを一生懸命頑張りました。




勉強も頑張って、三年生になる頃は学年で三番に入るくらい頑張りました。




部活も一生懸命頑張りました。




インハイ予選では、ベスト4に入ることはできたけど、優勝は無理でした。




受験は、希望の大学に受かることが出来て、そこでもまた勉強を頑張ったよ。




成績優秀賞って賞ももらいました。




すごいだろ?



そして俺は、この春無事大学を卒業して就職も決まりました。




たぶん、これからたくさんの辛いことがあるだろうけど、最後まで諦めずに頑張ります。




さて、ここからが本題です。




俺は、君に謝らないといけないことがあります。




君が必死で病気と戦ってるとき、俺は約束を破ってしまいました。




苦しんでいる君を見て、




もういい。もう頑張らなくていいよ。




そう、思ってしまったことがあります。




もう、君がこんなに辛い思いをするなら。




こんなに辛そうに生きるなら、もう頑張らなくていい。




そう思ってしまいました。




君と、最初に約束したのにね。



辛い君より先に、俺が先に応援することを諦めてしまいました。




辛そうにする君を見るのは、すごく辛かった。




もういっそのこと・・・・・死んでしまった方が楽になるんじゃないかって。




そんなの、俺が逃げていただけなのにね。




もしかしたら、あの時俺がそんなこと考えてなければ、君は少しでも長く生きることはできたのかなって、ふと考える時があります。




もしかしたら、病気が治っていたのかなって…………。




でも、そんなことを考え出すとどうしようもないので、今日でそんなことは考えないようにします。




考えたって、君は戻ってこないから。




君は手紙で、素敵な人がきっと現れるって言ってくれました。




それは、君にも同じだと思います。




そっちで、素敵な人が見つかったら、ずっと俺の事ばかり見守ってないで幸せになってください。




もし、俺よりも素敵な人が現れなかったら────.....