<<コイチゴが書いてみたよ★>>
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はぁ~……今日もかっこいいなぁ。
今、HR中で、2学期の委員会を決めているところ。
私の目線の先にいるのは……。
「それじゃ、体育委員をやりたい人」
黒板の前でそう言った、クラス委員の多田柚樹くん。
キリッとした目にスッと高い鼻の、超イケメン。
モデルみたいに長い脚で、身長は180センチを超えてるんじゃないかな!?
学校中の女子にモテモテだけど、いつも無愛想だから、“クール王子”って呼ばれてる。
そんな彼を見つめる私は、秋姫桃花。高校1年生。
背が低くて童顔で、小学生にまちがえられることもある私。
肩までの髪は生まれつき茶色のクセッ毛で、友達に『赤ちゃんみたい』って言われたこともある。
ドジで抜けてて、おまけに彼氏いない歴=年齢……。
そんな私が多田くんに憧れてるなんて、誰にも言えないよ~~!
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「できました! 作品の最初の部分です」
「人物の特徴が、ハッキリ伝わってきたわ」
「よかった~!」
「あとは途中でブレないことね! この男の子は裏表がある設定だから、いつ裏の顔を見せるのかというところも、しっかり決めておいてね」
「は~い!」
他にも、親友やライバル、多田くんの友達が登場する予定だから、詳しく決めておかなきゃ!
「編集部さん! 今回も、決めた人物像はケータイのメモに残しておけばいいですか?」
「う~ん……それでもいいけど、オススメは、イメージした人の写真を見えるところに貼っちゃうこと! 机とか、壁とかね♪」
「えぇぇ!?」
「そうすると、書くとき常に人物像がはっきりするわよ~」
ってことは、コイチゴの場合、好きな人の写真を……!?
ドキドキして、妄想が広がりまくっちゃいそうだよ~~!
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Step2♪まとめ
登場人物は、
芸能人やマンガのキャラ、
身の回りの人など
なるべく具体的に
イメージを決めておこう!
その人の写真を
見えるところに貼っておくと
常にはっきり思い描くことができるよ!
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「編集部さ~~ん! 助けてくださ~い!」
この前、登場人物の決め方を教わって、ついに新作を書きはじめたコイチゴです!
でも……さっそく、壁にぶち当たってしまって……。
今日も編集部さんに相談しちゃうよ!
「今日はどうしたの? コイチゴちゃん」
「新作を書きはじめたんですけど、つまずいちゃって……」
「どんなことで悩んでいるの?」
「えっと、ひとつめは、場所の設定についてです!」
学園ラブだから、コイチゴの学校を思い浮かべて書いてるんだけど……。
体育館裏で告白とか、屋上でサボりとか、中庭でお弁当とか……憧れシーンも盛りこみたくて。
実際の学校生活では経験したことがない場面を書こうとすると、難しいんだよね。
「シーンごとの風景はなんとなくイメージできるんですけど、部屋の配置やそこに置かれているものの位置関係がおかしくなっちゃうんです。前に書いたことを忘れちゃうことも多くて」
編集部さんに打ち明けた。
「自分の家や学校がモデルならわかりやすいけど、想像上の場所だとなかなか難しいわよね」
「そうなんです……」
「そんなときは、紙に図を描くといいわよ」
「図って、見取り図みたいなものですか? 難しそう……」
学校ってたくさんの教室があるから、全部描くのは大変そうだよ~。
「最初はざっくりした図でいいの。そこに、『こんなシーンを入れたい』と思うものを描き足してみて? たとえば、主人公の教室はここにあって、この階段が屋上に繋がってて、体育館は校舎から渡りろう下でつながってる……とかね」
「そのくらいならコイチゴにも描けそうです!」
「教室の席の位置や、自分の部屋の家具の配置も同じ。登場人物を考えるときと同じで、いつでもわかるように書き残しておくことが重要よ」
「はーい!」
それがあれば、あとから「図書室のシーンも入れたい!」とか思いついたときに、書き足すことも可能だもんね!
今日は悩みがもうひとつ……。
「時系列もおかしくなっちゃうんです。あとから読み返したら、1週間って書いてあるのに3日しか経ってなかった!とか、春から秋に時が流れているのに夏休みがなかった!とか……」
「これもメモに残すことが大事。一番わかりやすいのは、カレンダーに書きこんじゃうことね!」
「えぇ!? ダイタン!」
「もちろん、コピーや自分で作ったカレンダーでもいいのよ。それに書きこむと、あと3日で日曜のデートだとか、あと2週間で文化祭だとか、ひと目でわかるようになるからね」
たしかに、わかりやすいかも~!
でも……見取り図もそうだけど、コイチゴは面倒なことはやらない主義!
小説を書くときも、書きはじめてからノッてくるタイプというか……。
書きはじめる前にあんまり細かいことを考えてると、面倒くさくなっちゃうんだよね。
「コイチゴの憧れの作家さんが、ストーリーは決めずに書きはじめるって言ってて……コイチゴもその方が楽しく書けるんです!」
「そうねぇ。その場合は、小説を更新しながら、徐々に時間の流れメモを書き足していけばいいんじゃないかしら?」
「ほえ?」
「たとえば、コイチゴちゃんの小説は2学期の最初の頃から始まってたわよね? 次は体育祭!と思ったら、だいたい10月の頭にしようかな、と決めて、そこまでの1ヶ月間を準備や練習期間にする」
「ふむふむ」
「それを決めたとき、もしくは小説に書いた時点でメモしておけば、9月の下旬に突然文化祭を入れてしまったり、体育祭の翌日にクリスマスが来ちゃったり……ってことを防げるわよ」
「たしかにそうですね!」
「1ヶ月間の準備期間の内容を細かく書くかどうかはお任せするけど、1ヶ月経ったということが読者にちゃんと伝わるようにしてね」
……そういえば、2学期が始まったシーンの直後に、「今日は待ちに待った体育祭!」って書いて、読者さんを混乱させちゃったことがあったなぁ。
コイチゴとしてはその間に1ヶ月経ってるイメージだったんだけど、それを書かなかったから、翌日のシーンだと思った人がいたみたいで。
自分の手元にメモを残すことも大事だけど、どれくらい経ったのか読者さんに伝えることも大事なんだね!
気をつけよっと!
「それから、学校行事や季節の行事だけじゃなく、個人的な行事もなるべく書き残す。お誕生日とか、付き合った記念日とかね」
「あぁ~。前に高1から高3までの長編にチャレンジしたとき、3年間もあったから、それに苦労しました!」
誕生日とか、ついつい忘れちゃうんだよね。
「今が何月ということを意識すると、気温や木の葉の色、日が沈む時刻までイメージが広がるから、楽しいわよ」
「なるほど~!」
“桜の花びらが舞いおりる”とか、“落ち葉を踏んで歩いた”とか、季節がわかる風景の描写が上手な作家さんって、かっこいいなーと思ってたんだよね!
コイチゴも挑戦してみよっと!
「最初に全部決める派の人も、“やっぱりこのシーンも入れたい!”って気持ちが湧きあがることがあると思うの。そんなときに、メモを残してあると、その前後のシーンを調整したり、ずらしたりすることができるのよ」
「そうですね! そうすれば、矛盾もなくなりそう!」
それじゃあ、続きのシーンを書いてみます!
<<コイチゴが書いてみたよ★>>
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「次、図書委員をやりたい人」
多田くんの低い声が心地よくて、うっとりしながら頬杖をつく。
声もかっこいいなんて、完璧すぎるよ~。
窓の外に目を向けると、秋晴れの澄んだ青空が広がっていた。
ちょっとだけ涼しくなった風も気持ちいい。
う~~ん、なんだか眠く……なって……きた……。
「……さん! 秋姫さん!」
多田くんが私を呼んでる……?
そんなわけないか。きっと夢だよね……。
「秋姫さん!!」
「ふえっ!? はっ、はい!!」
怒鳴るような声が聞こえて、ぱちっと目を開けた。
げ、現実だったんだぁ~!
「HR中にうたた寝なんて、困ります。罰として……秋姫さんは、クラス委員の補助役に任命します」
そう言った多田くんは、少しだけニヤリと笑ったように見えた。
クラス委員の補助役!?
それっていったい、なにするの~!?
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