『杏菜ちゃん…どうしたのかなぁ…なんか表情暗かったなぁ…』
昼休みの時間
私は一冊の本を借り
それを持ちながら1人ブツブツつぶやいていた
『てゆーか、龍也くんてどんなひとなんだろー…話聞いてるとすごくモテるんだなー…』
私は何となく話で聞いた
龍也くんという人を思い浮かべた
笑顔の素敵な爽やか少年的な…
(どんっ!!)
『きゃぁっ!』
「うわっ!」
突然誰かにぶつかられ、私は床に尻もちをついてしまった
『いたたっ…!』
私は、ずれたメガネをあわてて上げた
「いってぇ…ぁ」
男の子の声がして私は顔を上げた
「わりぃな!前見てなかった!大丈夫か!?」
目の前には色黒の金髪少年がいて、その男の子は立ち上がると私の顔を覗き込んできた
『ひっひぃぃぃ!!』
私は目の前に男の子がいることにびっくりして後ろに勢いよく後ずさった
「ぇ、何?」
金髪少年は私が後ずさったことにハテナマークを浮かべ首を傾げた
『あ!す、すいませんっ、びっくりして…っ』
私はハッとなるとあわてて謝った
「何で敬語!?オレ後輩なんだけどw」
金髪少年はそう言った
『そ、そーなんだ…』
私は男の子が苦手…
だから話すこともなんだか怖い…っ
「ま、いーけどねん」
男の子は興味なさそうに言うと、
ちらっと落ちている本を見た
「これ、あんたの?」
男の子は本を拾い上げると私に見せた
『はっはい!今借りたやつですっ』
私は大きくうなずきゆっくりと立ち上がった
「おー、そか」
男の子は私に本を渡した
『あ、ありがとうございます…』
私は頭をぺこりと下げた
「おん♫」
男の子は微笑んだ
「じゃ、オレいそいでるんで!ぶつかってすんませんでした!」
男の子はそう言うと走って行ってしまった
『ちょっと怖いけど…優しい人かも…』
私は彼の背中を見てそうつぶやいた