次の日

「ねぇねぇ!」

教室で杏菜ちゃんと机を合わせて
ノートに落書きをしていると
同じクラスの島崎さん達が教室中の女の子に呼びかけた

「なに?どーしたの?」

杏菜ちゃんは顔上げ島崎さんを見た



「今さ今さぁ!サッカー部の龍也くんが鈴木に告られてるの見ちゃいましたー!」

島崎さんはニヤリと笑った

「「はぁー!?まっじでー!?」」

クラス中の女の子が驚いた

「ねぇ!びっくりでしょ?あの鈴木だょ!?地味でデブの!」

島崎さん達はけらけら笑いながら言った

鈴木さんとは
私のクラスの2組ではなく
隣のクラスの3組の女の子で
少しぽっちゃりした子で誰とも話そうとしないあまり目立たない女の子だ

「どーせフラれたんだろーけど、何様だろーね!あいつが龍也くんに告るなんてさ!無理に決まってるのに!」

『…』

何もそこまで言わなくたって…と
私は少し顔を引きつらせた

「…」

杏菜ちゃんは私の顔をのぞいていた
そしてはぁとため息をついた

「遥っ、そんなこといちいち報告しなくてもいーわょ」

杏菜ちゃんは島崎さんにそう言った

「えー?だってレアじゃない?あの誰とも話さない奴が2年のモテ男に告ったんだょ!?」

島崎さんは楽しそうに言った

「そっとしておきなよ、どーせいろんな奴があいつに告ってんだからさ」

杏菜ちゃんはそう言うと
嫌そうな顔をした

(龍…也くんてどんな顔なんだろ…杏菜ちゃん知ってるのかな?)

私は少し首を傾げた

「ん、まぁ杏菜が言うなら…」

島崎さんは納得したようにうなずいた

「…っ」

杏菜ちゃんの表情は苦いものを噛み締めている…そんな表情だった