「夏紀ーっ」

次の日の朝、
杏菜ちゃんが教室に入るや私を呼んだ


『あ、杏菜ちゃんっ!おはよう』

私は杏菜ちゃんに手を振った

「おはよ、昨日どうだった?」

杏菜ちゃんは私の前の自分の席に座ると
イスを引いて私を見た

『大変だったけど、一ノ宮くんが…あ、ほらみんなが言ってた龍也くんでいう子がね…色々フォローしてくれて大丈夫だったよ』

私は杏菜ちゃんにそう言った

「ふーん…龍也もやるわね」

杏菜ちゃんはボソっと何かをつぶやき、ニヤリと笑った

『え?』

「んや、何でも」

杏菜ちゃんはそう言うと私の机に頬杖をついた

「あ、でもね2年の…佐原海斗くん?だったかなその子がね、私の探してたストップウォッチを投げちゃって…」

私は昨日の海斗くんの話をしようとした

ガタッ!!

その瞬間
杏菜ちゃんは勢いよくイスを引いた

「…っ」

『え…?どうしたの?』

私は杏菜ちゃんの血の気の引いたような
表情に驚いた

「…ぁ、いや…」

杏菜ちゃんは少しうつむいた

『杏菜…ちゃん?』